「 猛練用PA放送設備を作る 」
07/09/14(金)
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猛練では常時FM放送で走行タイムを流している。
オーディオのあるクルマなら、走行後にすぐタイムが分かって大変便利なのだけど、外にいるときはラジオがないとわからない。当然、
パドックにいて「あの人何秒だろう?」と思っても、ラジオラジオとあたふたしつつ慌てて近くの車両の人にカーステの電源入れて貰っても、
まず間に合わなかったりする。また、タイムアタック時にFM放送で案内を流しても、やはり車外にいる人には聞こえて無かったりして、
結局メガホンマイクで呼びに行く事になったりする。
パドックでもタイムが聞きたいし、案内も聞いて欲しい。で、何か良い方法は無いかと考えた。水も電気も屋根も無い舞洲なので、
超大音量が出せるラジカセがパドック中央にあれば良いのだけど、
屋外で大音量が出せる様なラジカセなんて皆無だし、業務用の本格的なのは凄い値段(20万ぐらい)だし。で、コレという物がなかった。
唯一目的に近かったのは、随分昔に販売されたPanasonic
RX-PA7というPAラジカセで、それなりに需要があるらしく、未だに高値で取引されている様子。ただし、
かなりの大きさかつ重量11.5kg、別でバッテリーを用意する必要有り、内蔵も出来ないと言うこと。
ロードスターのトランクに入るかも微妙で、ちょっと厳しい。
と言うわけで、余り物で作ることにした。コンセプトは、バッテリー駆動出来る大出力の屋外簡易コンパクトPA。(長い)
・・・大出力ラジカセでいっか。
◆製作条件
・屋外で十分な音量が出る
・丸一日放送しても大丈夫な稼働時間
・ロードスターのトランクに楽に入る大きさ
・持ち運びが容易な形(箱形で全部内蔵)
・余り物で安価に
と言う感じで
コイツで作ります
今回はコレを使う事に。 ウーファ径は17cmほどあるので、十分な音量が期待できるハズ。
◆このスピーカとの出会い
ある日の帰り道、フェンスの向こうの土手に投げ捨てられていたこのスピーカーと目があってしまった。
ぐ「お・・・使えそうなスピーカー・・・でも、すまん、ウチにはもういっぱいあって困ってるぐらいなんだ・・・」
スピーカー「お・・俺はまだ鳴れるぞ!あんたマニアなんだろ!見捨てないでくれよ!」(幻聴)
ぐ「す・・・すまん!!ヨメ様にも怒られてるんだ・・・」
僕はその場を立ち去った。
・・・けど、戻ってきた。
ぐ「やっぱり捨てとけなーい!!(男泣)」
スピーカー「おおおーー!!!俺はまだ鳴れるぞー!!」(幻聴)
フェンスを乗り越え、不法投棄されたスピーカーを救出。投げ捨てられたコイツは、角がぐちゃっとなって無惨ではあったが、
ユニットはホコリが被っている程度でとても綺麗であった。言うならば、カベに刺さった事故車だけど、エンジンは綺麗な感じだ。
(わかりにくい) ・・・で、倉庫にしまってあった。我ながら情けない程の変態っぷり。
使わないのに・・・家狭いのに・・・。
だってね、ウーファの形とかカッコ良かったんだもの!(力説)
・・・で、コイツを引っ張り出してきて、鳴らしてみた。やはりちゃんと鳴った。しかし、恐らく10年ほど前の代物だろうけど、
当時流行った音がよくわかる個性的な音作り。あふれ出す低音。ひたすら低音。ズンドコドコドコ・・・・
ヨメ様「ナビオ前のようだ・・・」
※ナビオ前・・・週末の夜、
大阪のナビオ前にはナンパ目的のズンドコズンドコ言うクルマが沢山並んでおりました。(昔の話なので、最近は居ないかも)
低音ばっかりじゃないか。単体でスーパーウーファの音を聞いているかの様だ。で、少しシャリシャリ。ドンシャリっていうかズドーン!シャリ。
まともな音楽を聴くにはほど遠い感じ。確かに捨てちゃうかも。
バラしてユニットを摘出。3wayだが、ツイータは飾りだった。単体で鳴らしても聞こえない。ので、ミッドとウーファだけで行くことに。
ウーファにはごっついローパス用(高音カット)のコイルが付いていたが、撤去してウーファーはスルー接続+ツイータ(元ミッド、
コンデンサのみのハイパス)にしてみると、結構普通の音になった。わざとズンドコ、あえて中抜けなんだなあ。
◆スピーカを組み込む
スピーカを、ホームセンターで買ってきた680円のコンテナボックスに取り付ける。
この箱に付けますねん
17cmぐらいある大きめのスピーカなので、かなり大きな穴がいる。木工用の大穴開けで一度開けてから、カッターで広げた。
いっちょまえにツイータも付ける。ねじ穴を開ける。
こんなんなりました。で、
テスト装着。借り物のニッサン純正カーオーディオ。奥に見えてるのがGS/YUASAの12Vバッテリ。という感じで、もうおわかり。
まだちょっとごちゃごちゃしてるけど、仮完成。
という、パッと見得体の知れない物ができた。コレをどう使うかと言うと
絵の寸法おかしすぎ
こんな感じでパドックの中央に置いて左右に音を鳴ならす。みんなタイムとか案内が聞けてハッピー。慌ててカーステのラジオ聞かなくてOK!
カーステのハイパワーなアンプと、電池とは比較にならない大容量で強力なバッテリー、
最近のラジカセではあり得ないサイズのでっかいスピーカーで、立派に放送装置になってくれるハズ。(希望)
試しにCD入れて鳴らしてみたら、想像以上にガンガン鳴る。かなりパワフル。屋内では全然ボリューム上げられない。ただ、
舞洲の様に周囲に何も無いところは、少々の出力では音が拡散して全然聞こえなかったりするので、
現地でどうなるかは使ってみないとわからない。
しかし、元々バスレフでやたらめったら低音強調されてたスピーカが、極小容量の密閉箱になって著しく低音が減り、
ローパス除去でウーファの上も鳴るようになると、なんだか妙にバランスが取れて、元より全然音楽っぽく、いい音っぽく鳴ってしまった。変な箱から妙にいい音で音楽が流れる不思議感。なんだか妙に楽しく、みんなウキウキ。うっかり持ち歩きたくなってしまいそうな錯覚に陥るが、
7kgぐらいあってズッシリ重いので、やっぱり持ち歩こうとは思わない。
◆充電器を作る
内蔵するバッテリーの充電器が必要なので、秋月から出ている「鉛蓄電池充電器パーツキット」を使う。合わせて、推奨されている19V
3.2AのACアダプタも購入した。キット物なので自分で半田付けして作らないといけない。半田コテ握ってこんなの作るのは何年ぶりか?
ちゃんと半田付け出来るかなあ・・・と思いながらやってみる。(昔は電子工作野郎だったのよ)
まあ、ボチボチかあ・・・ヘタになったな・・。
あまり美しくないけど、まあ、ちゃんと付いてるので良し。箱に内蔵させるのに、基盤剥き出しではアレなので、何か無いかなあ・・・
と屋根裏をごそごそと物色。屋根裏に行けば何かある・・・と言うのも、オヤジは昔アマチュア無線野郎かつ、
昔はソレ系の仕事をバリバリしてた人で、僕は中学生の頃から電子工作野郎になった。お陰で、屋根裏はジャンク基盤やら、古い電子部品
(真空管とかニキシー管とかあもある)やら、作りかけの何かやら、会社の不要品なんかの山で、電子部品も箱単位で転がってたりする。
困ったときは屋根裏に行くと、大抵何か見つかる電子部品迷宮であり、見る人が見れば宝の山であり、
オカンから見ればゴミの山であり、オカンは早く捨てて欲しいと思っている。
と言うわけで、丁度良さそうなケースが出てきた。ワニ口のケーブルと、無線機用のピンプラグ。中には無線用のハンディマイクとブザーとか・・
・何だろうな。たぶん、無線用の何か・・・オヤジの物だな。
計ったようにぴったり。さらに中の物を撤去したら、基板固定用のねじ穴すら使えた。嗚呼!神よ!オヤジよ!! 有り難く頂戴しよう。
一通り完成したので動作テスト。ちゃんと動いた。久々の電子工作で、ちゃんと動いて結構嬉しい。
問題はパワトラ用のヒートシンクで、付属の小さな奴では容量ギリギリというか、触れないぐらい熱くなる 。なので、
やはり屋根裏をごそごそして・・・
めっちゃデカくしてみた。元の7倍ぐらいあるので、多い日も安心。ちなみにコレは昔懐かしいPentium2用。
ペルチェ素子とか使って無茶してた頃の遺物。
コレで、ガンガン充電しても手で触れるぐらいになった。ケースに基盤を内蔵して、クルマ用の強力両面テープでくっつけた。充電器完成。
◆ハイパス切り替えスイッチを付ける
主に音声放送なので、低域は出なくても良い。低域をカットしておいた方が音声の音圧も稼げて、遠くまで音が飛ぶ。また、
マイクを使用する場合、 低域はカットしておかないと、ポップノイズ(マイクに風)や、
マイクを落としたりしたときの音でスピーカが飛んでしまったりする。
と言うわけで、ハイパスフィルタを組んで、音声放送時には低域をカット出来るよう切り替えスイッチを付ける事にした。部品は、
元々スピーカに付いてた1.5mhのコイルと、屋根裏をごそごそしたら出てきたニチコンの63uF無極性電解コンデンサを使う。
デジットで1個200円で買ったらしい。明らかにネットワーク用なので、自分が買ったんだろうけど、
何のためにいつ買ったのか全く思い出せない。
で、二つを組み合わせて12db/octのネットワークを組んだ。スピーカに書いてないのでインピーダンスが分からないのだけど、
4Ωなら大体600Hz以下カットで、 8Ωなら300Hz以下カットになる。300Hz以上にしたかったのは、
電話が300Hz~3.4KHzなので、300Hz以上にしとけば音声は十分聞き取れるだろうと。
設計にはBachagi.h氏のスピーカ設計プログラムのネットワーク簡単設計プログラムにお世話になった。
二回路二接点スイッチでこんな感じに。中央オフのスイッチを使って、一応出力も切れる様にした。
で、こんなのを文字で書いてもピンと来ない方も多いと思うので、動画で。
切り替えで電話みたいな音になるのがわかると思う。この動画でWaveSpectra
(スペクトラムアナライザー/周波数成分測定ソフト)にかけてみると
低域で二つに分かれてる下の線がローパス後。ソースが音楽なので適当な計測だけど、350Hz辺りからガツンと落ちるので8Ωかな。
良かった良かった。
制作風景・・・ぐっちゃぐちゃ
一つの箱にスピーカ二つ分のネットワークと切り替えに充電に・・・で、もうぐちゃぐちゃ。線が多い・・・。で、なんとか切り替え回路完成。
ホントはケースに、ハイパスネットワークも充電器も内蔵させて、スイッチも穴開けてケースにちゃんと固定して・・・と考えていたんだけど、
あまりに時間がかかる上、だんだん製作美に拘る事に面倒くさくなってきて、ネットワークの配線に太い線使ったら全然収まらなくなって、
最後は超やっつけクオリティな仕上がりとなった・・・けど、出来たから良いか。こんな感じになった。
適当に作った割に絶妙な寸法だった・・・
フチは防水スポンジを張った。ビビリ止め。部品の固定はスピーカ以外全部両面テープ。ACアダプタは固定してなくて、収納してあるだけ。
ヘッドユニットが動かないように段ボールを詰め仕様。ヘッドユニットはオアシスで1000円で買った物。CDもちゃんと鳴る。
ネットワークは完全空中配線。ショートしないように収縮チューブとか使って、後は奥の方にぎゅぎゅっと突っ込んだ。十分十分。(と、
自分に言い聞かせる)
ロッドアンテナも付いてるよ
コレまた、屋根裏を漁ったら伸縮するロッドアンテナが袋入りで何十本も転がっていたので、装着。ラジオバリバリ受信。イイ感じ。
ACアダプタをコンセントに繋げば充電されて、終わればフローティング充電に切り替わり、そのまま使ってもOK。なんだか、
案外いい音で鳴るし、持ち運びポータブルで(たぶん)長時間鳴り続けるし、こりゃあ、結構良いかもしんない。
ガレージライフのお供にもなりそうだ。後は、猛練でちゃんと活躍出来る程の音が出るかだな。
しかし、一度は捨てられたスピーカーがこうやってまた活躍出来るのは、なんだかとても喜ばしい。スピーカーも喜んでるな。うんうん。
(アホですヨ)
と言うわけで、割と立派なコンテナボックスPAシステムが完成。コレは・・・もしかすると、
ストリートミュージシャンの間で大流行するかも知れない。(しないってば)
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