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「 猛烈FD物語 出会い 」05/05/25(水)僕がクルマに興味を持った頃から僕の心を掴んで離さない1台のクルマがあった。 アンフィニRX-7 デビュー時に誰もが驚いたその日本車らしからぬ強烈な流線型デザイン。孤高のロータリーエンジン。クルマの事が大してわかっていない中学生の僕の目にも、そのカッコ良さは鮮烈に焼き付いた。「いつかは乗りたい」と思い続けた。 21歳になった僕はクルマを買おうとしていた。RX-7を買うつもりでマツダへ。勿論本気で。イノセントブルーマイカの最終型FDが印刷されたポスターを貰って家に貼り、カタログをボロボロになるまで眺め、今にも頭金握りしめて買ってしまいそうな勢いだった。ちなみにそのカタログは今でも大事に持っている。 ◆迷い 僕は17の時、バイト先の社員に「売ってやるよ」と言われてうっかり買ってしまった400ccの過激なハイパワーレーサーレプリカに乗っていた。元々運動神経も良い方じゃないし、街乗りでスクーターしか乗ったことの無い小僧がポンと乗って乗りこなせるような物ではない。確かに直線は狂ったように速かったが、直線だけ。結局何が楽しいのかも、どう乗るのかもよくわからないまま、事故に遭い(僕は直進、相手は対応右折の見切り発車で衝突)、そのバイクは廃車となってしまう。 「初めてのクルマにRX-7って、二の舞になるんじゃ?」 凄く悩んだ。とりあえず乗ってみようかなと試乗車を探したりもした。(しかしFDの試乗車はどこにも置いてないとディーラーで言われた) マツダのおじさんに「ロードスターはどう?すごくいいよ?」と言われて「全然パワー無いじゃないですか」と答えたりもした。 結局選んだのはロードスターだった。(マツダのおじさん本気でごめんなさいごめんなさい僕が小僧すぎましたごめんなさい) 余談だが、この選択は、本当に本当に正解だったと今でもしみじみと思う。(FDが悪いワケでは無い) ◆出会い そんなある日、とあるHPでFDが売りに出ていた。程度は・・・かなり悪そうだがFDはFD。値段は、ちょっと冗談で買っても良いかと思えるレベル。悩んでしまった。 その話を友人のT(ここではミニTと呼ぶ)に話し、冗談で「共同で買っちゃう?」と話してみた。なんだか乗り気になってしまった。ミニTも僕と同じくFDに強い憧れを持つRS乗りだった。さらに別のT(ここではビッグTと呼ぶ)にも話を持っていって見ると「いいですねー」と、こちらも乗り気だ。 あれよあれよと話は進み 2月のはじめ。僕のガレージにFDがやってきたのであった。(つづく) Tweet Check ▲このページのトップへ ◆このページの固定URL | トラックバック (0) トラックバックURL: |
「 猛烈FD物語2話 衝撃 」05/06/17(金)と言うわけで今回からは普段のノリでいってみよう。 やってきたFD。その現状は値段相応に凄まじいモノであった。正直、このまま見なかったことにしてガレージに封印してしまおうかと思った。一緒に取りに行ったミニTさんの愕然ぶりには目を見張るモノがった。 ◆僕の中のFD ・とにかくカッコイイ ・流れるようなボディライン ・速い ・ステキ ・キレイ ・ああ、もう好きにして ◆うちに来たFD ・外装が汚い ・室内も汚い ・とにかくボロい ・内装もボロボロ(穴だらけ割れだらけ) ・流れてないボディライン ・室内の変なボタンを押すとネオン管が点灯する(別名屈辱のスイッチ) ・なんだか遅い ・フラフラしてまっすぐ走らない(高速で飛ぶ) ・アイドリングでアフターファイヤがおきている(ゴッゴッゴッ・・・と) ・というかコレは・・・本当にFDですか? 僕の中の素敵なFD像はガラガラと音を立てて見事に崩れ去った。値段が値段なので大きな望みを抱くこと自体間違いではあるし、後悔はしていないが、それでも凄かった。激安車両を"見もせずに買う"という漢らしい事をするとどういうクルマがやって来るのかという参考にして欲しい。安いクルマにはワケがある。 写真では伝わりにくいかも知れないが、その全貌をご紹介しよう。 遠目には、ん・・・カッコイイFDだね、と思える風貌しかし・・ フロントバンパーは見事なつや消しブラック仕様。そう、缶スプレーでシューっと塗っただけなのである。勿論跳ね石程度で容易に剥げるので剥げだらけ。元々のモノが悪いのかフィッティングは酷いもので、ボンネットとの隙間は余裕で2cm程度は開いていて簡単に隙間から手が入る。ちなみに、サイドステップ、リアバンパーもこの缶スプレー仕様なので、ハゲハゲのボロボロ。後期仕様のコンビランプが入っているのは、恐らくぶつけて壊したから、と予想される。(壊した→安いエアロを買った→缶スプレーで塗って自分で付けた) 勿論下回りはバキバキ。補修跡もいっぱいある。 バンパー上部がちゃんと止まっておらずフェンダー部分に無理矢理止めている為、重みでフェンダーが折れて下に曲がっている。接合部も塗装はバキバキ。 そして、変な黒い点々が全体に見えると思うが、これは超強力な水垢。ウォーターデポジット完成形のもので、一体何年洗わずに屋外放置したらこんな状態になるのかというモノ。軽くコンパウンドで擦った程度では落ちない。完全に塗面に食い込んでいて、これがボディ全面に広がっている。以下の写真がわかりやすい。 (クリックで拡大) ボンネットの一部分。ちなみに、この写真を撮ったときFDは洗車直後なのだ(GSの洗車機でワックス洗車)。洗車が終わったのに汚いままなのでビックリした。「キサマホントに洗ったのかー!」とGS店員に掴みかかりそうにはならなかったが、とても悲しかった。千円も出したのに・・。そしてさらに酷かったのが・・・ガラスだった。 次号「外装編2」につづく Tweet Check ▲このページのトップへ ◆このページの固定URL | トラックバック (0) トラックバックURL: |
「 猛烈FD物語3話 外装編2 」05/06/18(土)入手直後「そうだ、夜だけ乗ればボロがバレないよ!特に雨の日!」と話をしていた夜のFD。 外装第2弾。ガラス他である。 (クリックで拡大) ガラスのウロコである。 これは洗車直後だから、ガラスが汚れているんじゃない。ガラス全面に超強力なウロコが付着している。ちなみにウロコとは、ガラス表面の目に見えない隙間に不純物(ホコリ・排気ガス・二酸化炭素・etc…)と水分(カルシウム等)が結合し直射日光で焼き付けられ、リング状に白く固着したモノ。 長い年月をかけて固化したコイツは、既に石みたいなものでちょっとやそっとでは取れないらしい。ちなみに、コレのお陰でむちゃくちゃ視界が悪く、雨の日は前も後ろも横もあまり見えない。 リア窓のウロコアップ。表目は既にガタガタ。 そして、FDと言えば誰もが最初開け方のわからないカッコイイドアノブ。 FDの本来カッコイイドアノブである。 なんでこんな事になっているのか、塗装ハゲハゲのボロボロ。これも缶スプレーで塗られたのか、劣化するとこういうモノなのか・・・乗る段階で心が折れる悲しい部分。そして 巨大なスカートが装着され、リアからの見た目はまさしくV○Pカー・・・・さらにネオン管光ります。つや消しです。ゲンコツマフラー120mm。・・・え、FDのお尻じゃないよ父さん・・・そしてワイパー 勿論ハゲハゲのサビサビ。リアにいたっては何を思ったのか刷毛のようなモノで適当に塗ってあり、よけいにボロさがパワーアップしている。 他にも細かな突っ込みどころは満載(ドアパンチえくぼ満載、日焼けつや消しランプ類、外れかかっているエアアウトレット、他)と言うわけで、つまりは屋外で長期間放置プレイされた車両であると言うこと。とくに水垢(デポジット)とウロコの状態は酷すぎる上に範囲が車両全体に及んでいる。 次回「内装編」に続く。 Tweet Check ▲このページのトップへ ◆このページの固定URL | トラックバック (0) トラックバックURL: |
「 FD3S、第4話 (内装編) 」07/04/13(金)思い出したように、2005年2月に購入したFDの話でも書いてみる。昔の話はこちら。外装編で止まってた。もう書いても良いかなーと思うので、
ざざっと書いていこうと思う。 Tweet Check ▲このページのトップへ ◆このページの固定URL | トラックバック (0) トラックバックURL: |
「 FD3S、第5話。(外装を直す) 」07/04/23(月)これまでの経緯。 Tweet Check ▲このページのトップへ ◆このページの固定URL | トラックバック (0) トラックバックURL: |
「 FD3Sのおもひで 」11/05/13(金)僕はちょっとだけFDオーナーだった。 6年ほど前、憧れだったFDを激安で現物も見ずに購入。そしたら超ウルトラボロボロだった。ぴっかぴかにしてやる!と決めて直し始めた・・・。 と言う、FDの記事は書きかけで放置だった。Twitterでリクエストがあったので、一気に最終回までざっくりと書いてみる。
買ったときのお顔。缶スプレー仕様剥げ剥げバキバキエアロバンパー。 買ったときの後ろ姿。 買ったときの内装。
詳細は上記で。その続きは以下。
ボロボロの缶スプレーバンパーから、後期純正バンパーへ。
やはりボロボロの缶スプレーリアバンパーを、後期純正バンパーへ。テールランプは後期6灯タイプに改造。
フロントリップとコンビネーションランプ装着。一気にFDらしくなる。格好いい! けどまだ、あちこちチリがあってなく、写真では綺麗でもボディは水垢とウロコでドロドロ。 ココからガレージに持って帰り、外装のチリ合わせや補修、磨きに入る。
プロ用のシングルポリッシャー(板金屋のおっちゃんに借りた)でひたすら磨く。ガラスも、うろこ取りの専用クリーナーでひたすら磨く。そしてポリッシャーの磨きテクを習得。
とにかくデポジットだか水垢だか、ガラスのウロコは石だわ、もう大変。ボディは中目から始めて、細目、極細目、超微粒子、ぐらいだったと思う。ガラスは、ガラス専用のバフとうろこおとしの研磨剤で丁寧に磨く。 外せる部品は外す、研磨力が強すぎて角は塗装が落ちちゃうからその都度マスキング。腕が上がらなくなった。ポリッシャー重いし、コツわかんないからめちゃくちゃ力がいる。コツを掴んでくるとだんだん力もいらなくなってくる。 このとき覚えたことが「ロードスターレストア」ですごく役に立った。
んで
綺麗になって参りました!
ぬめぬめして参りました!
内装や外装、全部手を入れる。再利用出来る部品は全部外してサビや汚い塗装や劣化した表面処理を、ペーパーで全部落として、マットブラックで再塗装。ドアの穴にはロドスタのツイーターくっつけたり。磨けば光るものは光らせる。 割れたりして再利用できない物は程度の良い中古品を探す。汚いステアリングやシフトノブも、程度の良い純正中古品をひたすら探して交換していった。 ちょっとしたパーツでも、少し磨いてやるだけでまた使えるし、印象も全然違う。
こういう肌が
こうなるまでひたすら磨き続ける。
写真が無いけど、足回りも程度の良い純正中古品に交換、マフラーも純正後期物に交換。マフラーを純正に変えたとたん、無茶苦茶調子が良くなってビックリした。今までボコスカいってたのはマフラーが原因だったらしい。
内装の完成写真がこんなのしか無い。ブレブレで悲しい。 ステアリングやシフトノブ、サイドブレーキブーツ他、ほぼ新品みたいな純正、ブーツは社外?忘れた。とにかく、どこにもボロさはなく、割れてる所や穴が空いている所も無く、誰がシートに座っても、ワクワクするような内装に仕上げた。 エンジンルームも、出来る限りの基本的なメンテナンスはした。プラグ交換が完全手探りで全く見えなかったり、広いはずのエンジンルームにギッッッチギチに詰め込まれたロータリーツインターボの整備性に悶絶した。技量や工具不足で挫折した作業すらあった。 その後、スカスカのロードスターのエンジンルームを見ると心が和むようになった。
最後に、好みとは言えなかったホイールを交換。十分満足いくデザインかつFDドンピシャのサイズが格安で見つかった。ああっ、神様っ!
って感じで、どんどん、自分が思い描いてた格好いいFDになっていった。
そして完成形。約3ヶ月。
生き返った。 コレが僕の乗りたかったFDってクルマ。誰が見ても振り返るカッチョイー、誇り高きロータリースポーツRX-7。
◆一時のFD3Sオーナー 結論から言うと、その後迷うことなく手放した。
理由はいくつか。 一番は、街中がひたすら苦痛だった事。ロータリーターボのレスポンスは、ロードスターに比べて重い。ひたすら重い。アクセルにちょん、と力をかけるだけでスッと前へ出るレシプロ4発のロードスターとは全く違う。 シフトダウンで回転数を合わせるとき、アクセル操作から一呼吸おいて回る感じ。重たい三角おむすびが回っているのが想像できる。このFDは絶好調の個体ではないけど、練習会で乗らせて貰った色んなFDでも(最終型のFD含む)この感覚は同じだった。 街中を巡航していると、遅い・・・かったるい・・・かったるい・・・踏んじゃおうかな・・・うーん・・・うーん・・・我慢ならん・・・
踏んじゃえ!
「シュゴオオオオオオオオオ!!!!」「ピー!」パシュッ!!「シュゴオオオオオオオオオ!!!!」「ピー」パシュッ!!「シュゴオオオオオオオオオ!!!!」「ピー」パシュッ!!
ロケットですか?いいえ、FDです。 ひとたび踏み込み、ブーストがかかれば、そこには異次元のロータリーロケット加速。踏まない時のかったるさ、踏んだときの麻薬のごとき加速。 そしてスピードメーターに目をやると
150km/h
「!?」一瞬でこんな数字が目に飛び込んでくる。免許がいくらあっても足りない。ロードスターは、60km/hでも楽しい。FDは、FDが「もっと踏め、俺はこんなもんじゃない、お前知ってるだろ?」と語りかけてくる。60km/hなんて止まってるのと一緒。 街中ではFDの誘惑にのっちゃいけない。我慢しなくちゃいけない。誘惑に負けるとそこは、一瞬で免許が無くなる世界。制御不能の世界。正に麻薬。
そして、燃料計はみるみる減っていく。
当時ハイオクは140円前後だったかな。FDのタンクは76リッター。すっからかんで給油すると70リッターとか入っちゃう。
「ハイオク満タン9,849円になります(^^)」
ガソリンスタンドで毎回万札が消えていく恐怖。 麻薬のようなフル加速は、脳内イメージでマフラーから5円玉や10円玉がジャンジャンバリバリバラバラバラバラー!!と吹き出す映像に変換されるようになった。
お金がいくらあっても足りないと思った。
◆全く違う乗り物なんです 僕には、FDの「誘い」に耐えられる精神力も、経済力も無かった。大好きだけど別れるとか、恋愛じゃないんだからー、なんだけど、本気で命も免許もお金もいくらあっても足りないと思った。 年収が何千万もあったら、飾っておきたい。極たまーに乗って、年に2回ぐらいサーキットで本領を発揮させてやりたい。FDはそんな感じで、僕の中ではスーパーカー的扱い。見た目も含めて。今でも街中で見かけたら目で追いかけてしまう。世界一格好イイと思ってる。 よく、ロードスターにロータリーをって話が出る。けど、ロータリーターボはロードスターの性格とは全く合わない。例えNAロータリーでも合わないと思う。絶対性能じゃなくて、俊敏なレスポンスが命のロードスターはレシプロ以外あり得ない。
車検切れを期に手放す事を決めた。ココまで綺麗にしたのに、売っちゃうのは惜しいと、友人が買ってくれて車検を通してくれた。 それから友人が一年ぐらい乗ったのかな。最終的に、僕が買った額の倍で売れたらしい。僕は、時間はかかったけど、お金は一円もかからなかった。経験は山ほど手に入った。
と言うわけで、FDにはすごく良い経験をさせて貰ってお別れをしたのであった。 Tweet Check ▲このページのトップへ ◆このページの固定URL | トラックバック (0) トラックバックURL: |